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外国人実習生のニュース

外国人実習生に関するニュースを中心にまとめています

外国人介護人材受入れの建前とホンネ

厚労省で「外国人介護人材受入れのあり方に関する検討会」が開かれています。この検討会は、6月に閣議決定された「日本再興戦略」の具体化を図るために設けられたものです。外国人介護人材については、すでにEPA経済連携協定)などに基づいた受入れが行われています。こうした既存のしくみとの関係も含め、介護分野での外国人人材の受入れをどう位置づけていくのかを整理しましょう。


国は一貫して「人手確保」の目的を否定

 今回の検討会では、外国人技能実習制度に「介護分野を含めるかどうか」が大きなテーマとなっています。正確にいえば、技能実習制度には1号と2号があり、1号は(「同一の作業の反復のみによって修得できるものではないこと」などを条件として)特に職種は限定されていません。ただし、実習期間は1年のみで、継続的に実習を続けるためには2号への移行が必要です。この2号移行は職種が限られており、介護分野は含まれていません。

 現在、外国人介護人材が3年以上現場で働く場合には、(1)EPAによる来日、(2)「日本人の配偶者」など身分に基づいて日本に残留するケースが考えられます。国の考え方が反映されているのは、(1)のケースとなります。では、(1)の「考え方」とは何か。国としては、再三「介護現場の人手不足を補うものではない」ことを強調しています。あくまで「二国間の経済活動の連携の強化」として「特例的に行なうもの」というのが、国の見解です。


建前と本音のギャップが生む労働法令違反

 しかし、ますます深刻化する介護現場の人手不足に加え、将来的な労働力人口の減少と高齢化にともなう介護人材ニーズの高まりという板挟みに国は苦慮しています。その中で、「人手不足を補うものではない」という見解を保つだけでは、どうしても無理が生じます。

 ちなみに、今回の検討会では、「検討にあたっての基本的考え方」として、「平成37年に向けて約70万人規模の人材を確保するには、国内の人材確保対策を充実・強化していくことが基本」としています。また、技能実習制度の目的は、「国際貢献のため、(中略)OJTを通じて技能を(外国人の母国に)移転する制度」とも述べられています。

 つまり、技能実習制度についても、EPAによる来日と同じく「人材交流による国際貢献」が目的であり、介護人材不足に対しては、あくまで「国内における人材確保」で進めるべきものという姿勢が貫かれているわけです。

 しかし、現状の技能実習制度を見ても、受入れ団体の中には「人手不足を補うために、安価な労働力として制度を活用している」と見られるケースが後を断ちません。その結果、賃金不払い等の労働関係法令違反も見られます。結局は、国の「建前」と現場の「本音」とのギャップが死角を生み、こうした問題の根っことなっているわけです。


真の国際貢献は、国内人材の幸せから


 国は、不適正団体の排除など、技能実習制度の見直しに乗り出していますが、まだ施行には至っていません。そもそも「建前と本音」のギャップに問題の根っこがあるとするなら、「建前」を通すために「現場の人手不足」という本音を全力でカバーしなければ、根本的な問題の解決にはならないでしょう。

 たとえば、今回の検討会で「実習生の受入れ」対象から訪問介護を外すという案が出ています。訪問介護での人手不足は介護現場全体を通じても著しく、その「本音」の中に「建前」のしくみを持ち込めば「大変なことになる」という意識が国にもあるからでしょう。

 建前と本音のギャップを埋めるための堤防をいくら張り巡らせたとしても、それは小手先の対応にしかならず、いつか堤防は決壊します。まずは、国内の介護人材が安心して働ける状況を確実に築くこと。そうすれば、「日本で技能を学ぼう」という実習生はおのずと増え、国がめざす国際貢献も実現に近づくはずです。真の国際貢献は国内人材の幸せから──これを忘れてしまえば、どんな美辞麗句も本末転倒となってしまうでしょう。

外国人介護人材受入れの建前とホンネ